【書評】残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
この本を読んで、サン=テグジュペリの「星の王子さま」に出てくる「本当に大切なことは目には見えないんだよ」という言葉を思い出した。
巨万の富を築いてもマサイ族が感じている程度の幸福感しか感じない。だったら最初から他人にとっての幸せの定義など気にせずに、自分自身にとっての幸せを追求したほうが人生うまくいく。
自分自身が楽しいと思うことを追求し、お金持ちにはなれなくても、楽しく豊かな人生が送れるのではということだ。そして、その際は搾取されないように、うまく自分の労働力を投資する必要がある。
ただこれは本当にそもそも論になってしまうが、世の中の多くの人が「自分自身が何をやりたいか、何をしたら楽しく感じられるか」それほど自覚的に考えてはいない。
今でも思い出す。
小学生2年生の頃、学校のグランドでみんなが楽しそうにドッチボールをしていた。僕も一緒にいたが、実際のところ全く楽しくなかった。そして、続けてこう思った。「ずっとこれが続くのか、小学校を卒業し、中学に行き、さらに高校に行ってもこんな退屈な毎日が続くのか」と。そこで「まずい。たぶんこんなことを考えているのがバレたら、仲間はずれにされる!」と現実的な自分の声が聞こえて、慌ててみんなの輪に戻った。
何が言いたいかというと、自分自身が人とは少し違う考え方を持っていることをその頃から自覚していた。と同時にそれが、日本の社会ではものすごいマイナス要素であることも知っていた。だから、ひたすら時が過ぎるのを待った。それが今ではインターネットが到来し、人と違う考え方を抱くことが大きなアピールポイントとなったのだから、長生きはするものだ。(学校なんて誰だって退屈だと思っているだろうが、日本の学校社会では「ほんの少しの違い(髪の毛が茶色、人より冷めた見方をしている)」などでも致命的になる、それこそ残酷な世界なのだ)
「伽藍(がらん)を捨ててバザールに向かえ!
恐竜の尻尾のなかに頭を探せ!」
ということはとどのつまり「幸せは最大公約数であるという考え方を捨てて、自分だけの最適解を見つけろ!」ということだ。
自分自身が本当は何をやりたいか・・・・・なんてことは思春期にしか考える必要のないことで、われわれに求められているのは今後生き残るためには、自分自身のなかで最もお金を生む要素(=得意なこと)に資本を投入せよということだ。そして、得意なことに没入するのは楽しいことでもある。
頑張れば報われる時代は終焉を迎えた。一見すると残酷だが、無駄な努力はしなくても、世界へ出ていける素晴らしい時代でもある。
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