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2010年10月 7日 (木)

上場しない企業のあり方:ソーシャルビジネスについて

ワンズワードオンラインが正式スタートしてから10ヶ月あまりで、かなりの投資会社および証券会社から連絡をいただき、IPO(株式公開)の話しを聞かせていただいた。何度か「IPOには全く興味ない」と伝えても、ほかにも色々と手段があるのでぜひお会いしたいと言われ、会ったりもした。

それでもやはりIPOの話となり、お断りしている。

きっと上場に興味のない株式会社の経営者などいないとでも思っているのだろう。ほとんどの起業家がIPOを目指して起業しているということもある。しかし、株式会社ワンズワードは企業理念に「ソーシャルビジネス」を掲げており、ウキペディアによるとソーシャルビジネスは「社会的課題の解決をミッションとして持っている為、単なる営利企業とは異なり、自社の利潤の最大化ではなくミッションの達成を最優先する」と明記されている。

IPOは結局は資金調達のために行う。そして、その資金調達は企業としてのミッション達成のためではなく、株主の利益の最大化を計るために行われる。このこと自体は何も悪いことでもなく、今まで当然のように行われてきた。ただ個人的にそんなことには全く興味を感じないだけだ。

IPOのためには下記のことが必要だ。

監査法人の指名、監査証明書
主幹事証券会社の指名
社内IPOプロジェクトチームの発足
資本政策の最終確認、安定株主対策
中期事業計画書と経営ビジョンの策定
予算統制(予算実績管理)の強化(最終目標は5%以内)
予算編成フロー(積み上げ予算形式)
月次決算(試算表)の早期化(10日以内)
内部監査の体制確立と実施
取締役の利益相反取引解消、兼務解消
常勤監査役の選任(監査役会の設置)
就業規則の見直し、諸規程文書の整備
業務フローの作成と運用(特に経理関係)
売上計上基準、原価計算設計と導入(会計基準の再確認)
定款の見直し、登記事項の確認
契約書、重要会議の議事録整備
労務問題の解消(残業問題)
申請書類(Ⅰの部、Ⅱの部、半期報告書)の作成
稟議システムによる適切な職務権限の運用
情報管理体制の強化

そして、それにかかる費用は下記の通りである。

監査法人費用…本監査1回1,000万円×2年分、ショートレビュー数百万円
証券会社コンサルティング費用…500~1,000万円
IPOコンサルティング費用…500~1,000万円
有価証券届出書/目論見書等印刷費…1,000万円
株式事務代行費…500万円
上場手数料…300~2,000万円
上場年賦…60~150万円
(引用元:MiraiZ.BZ

「あー、こんなに面倒くさいのに、さらにこんなに費用がかかる」と思ってしまう。

そんな暇があれば、もっと人の役に立つことにエネルギーを費やしたい。もちろん、調達した資金で労働者(先生たち)や顧客(生徒様)の利益が大幅に増すのであれば、それを行う大義はある。だが、ワンズワードのメイン事業であるオンライン英会話というサービスに関しては、今のところ資金調達をしてまで行うサービス拡張の必要性を全く感じていない。

そして、非上場を貫く企業は特に特殊なわけでも何でもなく、誰でも知っている企業でもかなりの数の企業が非上場を貫いている。サントリー、大塚製薬、竹中工務店などがそうだ。

また関西の長寿企業の多くが非上場企業でもある。「上場しない「長寿企業」が元気な理由」という記事には、世界中で100年以上の歴史を持つ企業は下記のような特徴を持つと書かれている。

第1に、環境の変化に対して敏感であること。
第2に、長寿企業には強い結束力があり、企業組織全体の健康状態を大切にする経営者に経営をゆだねていること。
第3に長寿企業は、連邦型の経営を行って現場の人々の判断を大切にしていること。
第4に、長寿企業は、資金調達に関して保守的で質素倹約を旨としていること。

これからIPOを目指さない理由を人に訊かれたら「100年続く長寿企業を目指しているので」と答えることにしよう。今までのようにソーシャルビジネスの概念を説明するよりは、よほど分かりやすい。

結局のところ、ソーシャルビジネスなんて言葉はある意味捏造された言葉で、長く生き残っている企業はそれと同じようなことを古くから行っていたわけだ。「人を大切にする」ということが一企業として長く生き残る秘訣であり、またその企業の存在意義と密接に結びついている。

そして、仮に上場出来たとしても、上記記事にはそのことについてこのような指摘がある。
「上場によって資金を得てしまうと、無駄な投資をしたり無理な拡張を図ったりしがちである」

本当にその通りだと思う、無駄なお金は不幸の始まりなのだ。僕の好きな英語のことわざに次のようなことわざがある。

”Fools rush in where the angels fear to tread”(愚者は天使が怖れるところにも飛び込んでいく)

100年続けるためには、この言葉を胸に刻みつけて、的確な状況判断を行っていくべきだろう。

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