異端の資本主義:ワンズワードの企業理念にかえて
ふとワンズワードオンラインと似たような理念を掲げ、「先生、生徒、運営会社」での利益の共有を目指す会社がオンライン英会話業界に現れたらとどうしようかと考えてみた。
「うん、まあいいんじゃない」と思う。
以前、「異端の資本主義論への考察〜デジタル世代に向けて」というエントリに書いたとおり、資本家ばかり儲かる仕組みに対しては個人的に嫌悪している。労働者(先生たち)に対してフェアであるべきであり、中間マージン(運営会社の利益)はミニマムであるべきだ。特にインターネットのおかげですべての仕組みが透明化されつつある今、顧客(生徒様)と(先生たち)の利益こそ最大化し、彼らを結びつける役目である企業の利益をなるべく抑えないと競争に勝てない。
とは言いつつも、自分自身を犠牲にしてまで、他者に尽くすほど愛情溢れる人間でもない。ワンズワードはあくまで株式会社であり、寄付で成り立っているNPOなどではないからだ。
数多くのほかのオンライン英会話スクールを見ていると「他社よりも1円でも安く」を掲げているところがほとんどだ。それはそれでビジネス戦略としては正しいと思う。だが、それが労働者(先生たち)の犠牲に成り立っているようであれば、そのような企業は長続きはしないだろう。
労働者(先生たち)はよりよい環境を求めて移動するものであり、彼らの幸福の先にしか顧客(生徒様たち)の幸せは存在しない。労働環境に不満を抱きながら、質の高いレッスンを行うことなど不可能だからだ。
ワンズワードオンラインでは先生の幸せがまず優先され、彼らこそが一番の貴重な資産である。(とは言いつつも、顧客に迷惑をかけるという判断をすれば、速攻クビを切る。言い換えれば、顧客に利益をもたらす限り、彼らこそが一番貴重な財産と言えるかも知れない)
だからこそ、たいして儲かってもいないのに、先生1人を日本に呼び寄せたりする。ワンズワードは人に投資をする。彼、彼女らが日本での経験を持ち帰り、それをレッスン、あるいは自分自身の国に還元してくれたらと思っている。
(ちなみにワンズワードは投資や融資を受けておらず、無借金経営の健全企業ですのでご安心ください。他事業からの収入により、今期は先生を呼び寄せたり、ウェブサイトに投資出来たりしています)
とここまで書いてきて思ったが、このような酔狂なことを真似する会社がほかにあるとは到底思えない。多くの企業は自身の利益を追求しているだろうから、「人(先生たち)に投資」なんてことを考えたりはしない。せっかく投資した人たちにいなくなられたら困るだろうし、そもそも投資に値する人たちを見つける努力をしているとは思えない。
「人生に取り組む方法として、遊戯のほかにやり方を知らない」と言ったのはたしかニーチェだったか。何事もしかめ面をしていても、始まらない。上手くいくと思ったことはうまくいかず、上手くいかないと思ったことがうまくいく。そんなことは人生ままある。
では、僕がワンズワードオンラインを始まるときどのように思っていたかだが、そんなことは正直どうでもよかった。ただその時のベストを尽くすことしか考えていなかったし、今もその気持ちは変わらない。
そして、最も重要なことは「ベストを尽くす」ことは当たり前であり、それが他者(先生たち、生徒様)に対してきちんと利益を生んでいるか、そこを真剣に考える必要があるということを常に自覚していることだ。
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