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2006年2月 8日 (水)

Travel, Time, Morocco(3)

砂漠の朝はゴージャスだった。
強烈な朝日に照らし出された砂漠はなんとも神秘的で、筆舌に尽くし難いとはこういう光景のことをいうのだろう。

Desert04

砂漠以降のモロッコの風景はどれも色あせて見えるほど、砂漠の光景は印象深かった。
あの砂漠を見ただけでも今回の旅には意味があったと思える。

Desert03

砂漠からの帰り道は、過酷だった。
ワルザザートからマラケシュまで本来ならばバスで三時間の道のりなのだが、大雪に見舞われ16時間もかかってしまった。
遅々として進まないバスには、普段だとイライラするのだがモロッコにいるとそんなことでも受け入れてしまう自分がいる。
外の猛吹雪を見れば、時速三キロだろうが進んでいること自体に感謝の念さえ覚えるくらいだ。
国も違えば、自分の許容範囲も広がるものだ。

Snow01

ようやくマラケシュに着きホテルも決まったところで、ちょうど同じようにチェックインしようとしていた中国系オーストラリア人の青年と仲良くなった。

彼の名前はマリオ、その名前のおかげで不幸な幼少時代を送ったらしい。
ひたすら「スーパーマリオ」とからかわれた彼は、ここモロッコでは「ナカタ」呼ばわりされてからかわているという。

Mario

もし「中田英寿」の名字が「綾小路」や「武者小路」ならば、どうなっていただろう?
われわれ日本人、ひいては中国、韓国をなどのアジア人たちはここまで全世界的に「ナカタ」呼ばわりはされなかったのではないか?
ナカタ・・・・なんて外人にとって発音しやすい名字なのだろう。
これも彼が海外で最も成功を収めたサッカー選手となった所以かもしれない。

日本嫌いのほかの韓国人や中国人たちが地球の裏側まで旅して、「ナカタ」呼ばわりされていると思うと、なんだか世界が少しは平和になる気がするから、やっぱり「ナカタ」でよかったのだろう。

そんな名前の因縁を持つマリオとともにマラケシュは歩き回った。
彼にとっては初めての街だったが、自分のとっては二度目だったので、地理はだいたい頭に入っていた。
取りとめのない話をしながら街をぶらつく。
僕が旅でいちばん好きな時間かもしれない。
お互い一人旅ということで、似たもの同士であったから話は途切れることはなかった。

Night02

マリオとの話で興味深かったのは、オーストラリアで育った多くの中国人は中国人同士でしか親交を深めようとしないらしい。べつに語学の問題はまったくなく、誰もがネイティブ並みの英語を話すらしい。
ロンドンやパリなどの大都市では語学ができないばっかりに、日本人同士でしか仲良くなれない人々が多いが、それとは全く別問題らしい。

アイディンティの問題だろうか?
やはりオーストラリアは自分の国ではないから、それを引け目に感じているのだろうか?
あるいは中国人の血を誇りに思って、外国人であるオーストラリア人とは親しくならないと心に決めているのだろうか。
マリオもなぜかは分からないと言っていたので、部外者である自分が解ける問題ではないが、色々と考えさせられる問題だ。

個人的には自分と違う価値観を持つ人間といるほうが刺激的で面白いと思う。
だから僕はロンドンや東京など多種多様な人間が集まる大都市が好きだ。
だいたいひとつの価値観しかなく、ひとつの人種しかいない世界なんて、存在するに値しない。

世界がなぜ存在するか、ということを根本的に突き詰めていくと、その多様性を人類に認知させるためなのかもしれないということに思い当たる。
言い換えるならば、「色んな人間がいるんだから、そいつらとうまくやれよ」ということになるのだろう。

そういえば学校では多数決が正義だった。
「それじゃあ、多数決で決めようよ!」とクラスの優等生くんは言う。
僕はよく「それじゃあ」の意味が分からない、と突っ込むようなませたガキだった。
今でもそのスタンスは変わらない。

Night01

つづく

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